アルファロメオ 試乗記

イタ車試乗3連発!最後はアルファロメオ4C。これはヤバい

投稿日:2016年12月4日 更新日:


イタ車試乗3連発のトリを飾るのはアルファロメオ4Cです。これはもう、乗ったらいけない(良い意味で)とてつもない車でした!

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見た目はとってもコンパクトで、ケイマンよりひと回り小さく感じます。コンパクトなボディに1750cc四気筒ターボエンジンがリアに横置きされます。リアハッチにはダンパーが存在せずフックでかける方式ですが、潔くてカッコ良いですね。荷物はリアエンドにほんの少し置けますがケイマンより狭く、熱もこもりそうな感じです。フロントボンネットは開きそうな外観ですが、補機類で埋まっており開閉不可との事。外観はアルファロメオらしくも排他性があり、プチフェラーリっぽくてカッコいいです。特にクーペのヘッドライトはデザインが独特です。(スパイダーはある意味普通のクリアカバー)

軽いドアを開け中に入り込みますが、スパルタンな簡素な内装に心惹かれます。なにはともあれカーボンモノコックで織目も綺麗に見えるのが良いですね!これだけでも気分が上がります。

ウンチクとしては4CのカーボンはF1などレーシングの世界で使われるプリプレグ方式で製造されています。これは想像通りコストがかかる代わりに強度と軽さでメリットがあります。ポルシェ981スパイダーやラ・フェラーリ、マクラーレンF1等ハイパーカーに用いられているものと一緒です。同じカーボンモノコックでもマクラーレン650s/570/540、BMW i3等に使われるものはRTM方式と呼ばれるもので製造されており、プリプレグ方式より強度・軽さで劣るものの(それでも充分すぎる性能だとは思いますが)コスト面で有利という違いがあります。自分はこのようなウンチクは結構好きで、聞かれれば答えるけど普段はひけらかさないスタイルに憧れます(難しいですが)。人から聞く話も勉強になりますよね。

カーボンの織目にニンマリしながら内装をぐるっと見回しますがドアノブがストラップだったりナビも1DINのみだったり硬派な仕様です。サイドシルはポルシェケイマンより少し高いかな?という位で、慣れれば乗り降りもそこまで不便ではなさそうです。それでいて着座位置はケイマンより低く感じます。不要なモノを排したコクピットな感じがたまりません。

珍しく前置きが長くなりましたが薄く、しかし強度のありそうなシートに腰を下ろしやっとエンジン始動させますが「これが1750ccの音か!?」という位の雄々しいエグゾーストサウンドが鳴り響きます(試乗車はオプションのスポーツパック装着者なので、マフラーも変わっている)。もうこれだけで自分は興奮状態MAXです。これで飯が食える、とは良く言ったものですがまさしくそんな感じ。ターボ車らしい低音のドコドコした感じで、NAのケイマンとはまた違った迫力です。もちろん騒音規制はクリアしているはずなので合法的に勇ましい咆哮が楽しめます。

運転を開始しますが、クリープなしのデュアルクラッチトランスミッション、今時珍しいパワステレスなどかなりスパルタンです。ハンドルの重さは20年程前に父親のミニ(BMC)のハンドルを握ったのを思い出します。乗り込んでビックリしたのがブレーキで、かなりの剛性感です。ブレーキブースターが無いんじゃないかとも思えるほど重く、しかし効きはしっかりしておりこれまたスパルタンな印象。

初めは暖気もかねてゆっくり走行しますが、後ろから聞こえるエンジン音と排気音のおかげで早く踏み込みたい衝動に駆られます。こんなに運転してワクワクするのはポルシェケイマンの時以来です。乗り心地はわりと良いと思いますが、路面状況や車両状況をビシビシ正確に伝えてくれます。カーボンの硬いボディのおかげか不快な振動というものはほとんど感じられません。ハンドリングはほとんどロールせず(感じず)キュキュッと向きを変えます。とても切れ味が良く、まさに正確無比というような感じです。ケイマンも正確無比なのですが、言うなれば操縦者の意思にきっちり応える精密機械。4Cはそこにドラマが加わり、ありきたりな表現ですが人馬一体感があります。不安に感じる要素も無く、グイグイ曲がっていけます。

暖まってきたところで「DNA」と呼ばれるモードセレクターを最も過激な「D(ダイナミック)」に入れてアクセルを踏み込みますが、後ろから聞こえる吸気音と排気音、それと怒濤の加速により言葉を忘れました…。漫画風にすると顔の周りに「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」という吹き出しがあったと思います。「うぉー」とかの声も出ないくらい迫力の加速に思わず自分でアクセルを緩めてしまう程でした。落ち着いて、心の準備をし直して加速を楽しむと少しは慣れてきますが、変速するたびに後輪から「キュッ」と音が聞こえてただならぬ雰囲気を感じます。きくと0-100km/hは4.5秒で、以前に乗ったカレラS(3.0Lターボ420馬力)の4.1秒より速く感じました。絶対的な加速というよりは音や挙動等の総合的な演出に、言葉を忘れるくらいの驚きがあったのでしょうね。

ポルシェはどちらかというと運転者の思った通り加速し、曲がり、止まる事ができます(もちろんとても高いレベルでの話)。なので日常でもパフォーマンスを味わえるのはポルシェでしょう。荷物もフロントとリアに載せれます。

しかし思ったより勇ましい音がして、思ったより鋭いハンドリングと瞬発力のある加速が味わえ、走行性能に特化した車が4Cです。快適性・積載性はほぼありませんが、走行自体を楽しむ事にかけてはピカイチじゃないでしょうか。よく試乗記などに「アドレナリンが出る」等の表現がありますが、まさにそんな感じ。初めてのイタ車、しかも三車種のりましたが、4Cがもっとも惹かれるNo.1です。イタ車恐るべし。フェラーリとかはどんな感じなんでしょうか?とても気になります。

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次期4Cは無いとの噂もあるので、買うなら現行しか無いかもしれません。しかしポルシェケイマンとはかなり性格が違う車種なので、乗り換えというよりは増車したいのですが、今の生計ではちょっと車バカの自分でもキツいです。








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